トワイライト裏業務日誌 2005年3月・4月
3月2日
{純正の権威の崩壊?}
 厳密に言うと今日の話じゃないので、日誌ネタとしては問題だけど、先日実感したネタを1つ。
 例の大宰府ニアミス事件の頃に、稀に症状が出ていた走行中の「キーキー音」の修理をすべく、ウチの車のブレーキパッド(フロント)を交換したのです。
 日誌をお読みの方の多くは、どっちかというと車中毒系の方だから、この1文だけで、ブレーキパッドが磨耗して、パッドセンサーが鳴いていたんだなぁとすぐに想像されたと思うけど、意外と知られていなくて、いつまでもパッドセンサーの音を鳴らしつづけ、ある日、ブレーキをかけて止まる直前に「ガクガク」というような振動が出るようになって工場に持って行くと、パッドの裏側の板(カマボコでいうところの板の部分)まで磨耗したためにディスクローターまで交換しなければいけなくなったなんて話も珍しく無いので、まだご存知ではなかった方は、走行中に連続して軽い金属の接触音が聞こえ続けると、パッドが磨耗していると考えて工場(もちろんウチでもOKです・・笑)に相談してください。
 ちなみに、一緒に福岡ラーメン征服ツアーに行ったメンバーの1人Sちゃんは、免許を取ったばかりだったのに、パッドセンサーが音の原因だと知ってました。(近頃の自動車学校は、そんな事まで教えるのか〜恐るべし!なんて考えていたら、カレシの車が、先日そうなったので知っていたそうです)

 それはともかく、非常に乱暴な分け方をすると、ブレーキパッドは3つのタイプ(?)に分れていて、
1.純正
2.純正以外
3.スポーツ走行用
 という区別ができると思うのです。
 皆さんの中には、当然3番のスポーツパッドを使用されている方も多いだろうし、ウチでもよく取り扱っているんだけど、スポーツパッドの欠点は、ほとんどの商品に今回問題のパッドセンサーが装備されていないので、磨耗も早い傾向がある事も含めて、比較的マメにパッド残量をチェックするほうが良いのです。
 オレも、以前の車ではスポーツパッドを使用した経験もあるんだけど、お客さんの車は丁寧に見ても、自分の車(特にパッド残量までは)一々マメにチェックできないので、純正をオーダーするつもりだったんだけど、注文する時に説明が足らずに、届いた部品は2番の純正以外のパッドだったのです。
 この純正以外のパッドというのは、いわゆる車検時などに交換する、そのメーカーの方が聞かれたら気分を害するかも知れないけど「安いだけのパッド」というイメージが多いのです。(あくまで、メーカー系のディーラーでの認識です)
 オレも、返品して純正に交換しようかと思ったんだけど、またしばらく交換に割ける時間も無さそうだったので、「まあええかぁ」というカンジで交換して、試乗すると・・・・・なんと、純正よりもフィーリングが良いのです。
 昨年も日誌に書いた事があるんだけど、オレの車はブレーキフィーリングに少し難があって、初期制動領域を微妙にコントロールしないと、カックンブレーキになる傾向があって、「マイナーチェンジ車のクセに、自動車メーカーは改良する気が無いんかい!?」と思っていたんだけど、幸か不幸かその悪癖の半分くらいがパッドの交換で解決してしまいました。
 ディーラー在籍時には、メーカーから連日のように、改善対策資料などが寄せられていて、その中にもブレーキパッドの改良品の資料も多く、それにはブレーキ鳴き防止対策、早期磨耗対策、ブレーキフィーリング改善対策など、色々な改善が盛り込まれていたので、個人的にも、純正以外のパッドは、車検の基準というレベルでは何の問題も無いものの、こまかなクオリティという面では、見劣りがすると思っていたのに、全く逆の実感があって、純正以外のメーカーの技術者にお詫びしたい気持ちでした。
 でも、これって自動車メーカーの努力不足という一面も否定できないので、1銭を削るようなコストコントロールも良いけれど、満足できる品質を提供して欲しいと思った1日でした。
3月6日
 今日の出張修理は、エアコンなどの噴出し口が切り替わらなくなったという依頼に出動でした。
 初期に顔に噴き出す部分(インパネ)から風が出なくなっていただけなのに、最終的にフロントガラスへ温風を噴出す部分しか風が出なくなったという事で、ついに点検修理をする事になったんだけど、行って点検すると、まさにそのとおりの状況で、今のうちはいいけど、春になって天気が良い日は、暑くてかなわんだろうねとお客さん(Mさん)と話しながら、インパネを分解して原因を探求してみると、噴出し口を切り替えるレバーが付いているパネルから奥のユニットに伸びているケーブルを固定しているガイドが壊れていたのです。
 わりと原因は簡単に判明したものの、これをキッチリ修理するには、コントロールパネルの交換になるんだけど、これが決して安い部品ではないのです。
 そこで、最終的には交換するしかなくなる可能性もあるんだけど、もしかすると応急処置(応急といっても、処置が長い間効果を発揮して、結果として完全?な修理になる可能性も大きい)で、問題なく動作するような対処が取れるかも知れないけど、どちらで対処しますか?とMさんに聞くと、ダメで元々なので、是非応急処置で試して欲しいというリクエストで、まさに大工さんと、外科の再建術を組合すような作戦でがんばってみること1時間・・・・ほぼ、問題無い動作になるような結果になったのです(祝!)

 みなさんも、ちょっとした機能が動作しないので、相談に行ったところ、ほんのちょっと損傷しているだけなのに、それを修理するには、損傷個所がくっついている非常に高価な部品ごとの交換が必要なのでという理由で、ビックリするような見積もりをもらった経験はありませんか?
 よく言われる事だけど、昔と今のサービスマンの違いとして、昔は修理屋という言い方がピッタリだったのに、今のサービスマンは、単なる部品交換屋だと皮肉たっぷりに揶揄される事があるんだけど、以前と違って、部品の生産工程の効率化や組み立てラインでの効率化のために、細分化されていた部品が、どんどんユニット化される傾向が強く、実際には、今も昔も部品を交換しているだけなのに、お客さんから受ける印象は、昔は不具合個所の修理、今は、部品の交換屋という実態とは違ったイメージを持たれてしまう事も珍しく無いものの、実際には部品交換しか対処法を知らないサービスマンも少なくないのは事実なのです。

 オレも、理想としては部品の交換による完治修理が望ましいと考えているんだけど、それにかけるコストに対する効果が、例えば、お客さんが期待している車の価値や許容範囲と考えている不具合の程度などに見合わない場合は、安全に関する点をクリアできるのであれば、お客さんのリクエストを尊重して、今回のような修理を行ってもいいんじゃないかというのが、オレ個人としての見解なのです(という点で、オレは古い世代なのかも?)
 ま、何でもこういう修理ができるワケじゃないし、先ほども触れたように、安全性や法規制の問題をクリアするのが前提だけど、今非常に薄らいでいる、こういう修理法も必要があれば、検討してみても良いのでは?という気がしている新枝です。

{久々登場 トワイライト 自動車用語辞典 ”@@@@@の自動車屋”}
 これは、オレが独立前に在籍していた某自動車ディーラーで誕生した言い回しで、今日の日誌にあるように、近年、部品の交換だけという偏った対処に陥っている日本の自動車整備業界に警鐘を鳴らしつつ、目先だけの効率化に終始する自動車修理業界の経営方針に痛烈な皮肉を込めた言葉なのです。
 部品交換をしてしまえば、楽な作業だし、部品代が高額だと、一般の修理工場と違ってディーラーでは部品の仕入価格が極めて安いので、結果として早く、大きな修理売上額を確保でき、楽に仕事ができるのに、わざわざ交換時よりも工賃は高くなるものの、総額は安くなり(=売上ノルマに達しにくくなる)、時間がかかり(=効率が悪くなる)、面倒(=高度の知識や技術を要する)で、利益も望みにくい今回のような修理の方法を実施しているサービスマンを”@@@@@の自動車屋”と呼んでいたもの。
 ”@@@@@”という部分には、なんと某国の国名が入り、部品の入手が難しい後進国の自動車屋では、いまだにこのような修理方法が一般的ではないかという勝手な推測やTVなどでの報道からのイメージで名づけられているものの、某国の名誉を守るため、また、某国との戦争のきっかけにならないため、ここで某国の国名は公表できない(ちなみに、最近安全保障上の問題がクローズアップされている某国とは関係ありません)。

 用法としては、今回のような修理をしている所を見つけた同僚が「オマエ、また@@@@@の自動車屋みたいな修理しやがって!ヌクヌクと育ったひ弱な日本のサービスマンは、そういう修理をしちゃイカンでぇ」と使うのが正しい。
 そういう言葉を吐いた同僚へのリアクションは、「こういう修理ができて1人前じゃ、文句言うのは10年早いわ!」というようなリアクションを皆さんも期待しているとは思うけど、実際には違う。
 こういうツッコミをする同僚は、基本的に”@@@@@の自動車屋”的な能力を持っている、日本では同じ奇特な人なので、「ニヤッと」笑うだけで全ての意志が通じ合えるものである。

 しかし、日誌を読み直してみると、この”@@@@@の自動車屋”的修理を実施しているケースが多いのなんのって・・・
 やっぱり、オレは奇特な人なんだろうなぁ。
3月15日
 毎年最終日にもつれこんでいた確定申告も、最終日まで数日を残して、何とか終了し、ようやく普段の仕事のペースに戻れそうな予感が、ちょっとだけしている今日この頃です。(ま、日頃往生という意見もありそうだけど)
 今日は、オレが今のような本業+講師業という自動車業界では実に稀な仕事の仕方になるきっかけになったG専門学校の卒業式でした。
 人前に出ると話もできない小市民のオレ(笑)が、専門学校の講師も勤める事になった経緯は、過去の日誌などで多少触れているんだけど、講師としてデビューした学校がここで、5年間の間担当していたコースが、来年度から他のコースなどと統合されるために、オレの契約も今年度で終了になったのです。(クビになったわけではありません・・・笑)
 もちろん、事前からわかっていた事でもあるので、そのコースの最後学生達も、「自分達のコースが無くなるのは、バリ残念だけど、一緒に卒業やね〜」と、オレと同時に卒業する事をとっても楽しみにして盛り上がっていたのです。(厳密には、くどいようですが、オレは卒業でもありませんが・・・)
 特に、今回一緒に卒業する学生達は、「最後に担当するのがこのコ達でホントに良かったなぁ〜」と、1年の春の時から思っていたコ達で、色紙に寄せ書きしてもらった内容も、ホントに心のこもる、そして数々のエピソードを思い出させる事ばかりだったのです。
 今だから、ここに書けるけど、この学校の場合は、契約上、学生との接触は教場だけでという取り決めになっているものの、講義を受け持つようになって1年経過した頃から、本当に学生の悩みを解決する支えになってあげるためには、もっと別の面でのサポートが必要だと実感し、表面的には抵触するものの、なぜ教場外での接触を制限するのかという背景や、本来の学生のためになにをサポートするのがオレの役目なのかという趣旨を優先し、連絡先も教えておいたし、悩みの相談にも乗っていたのです。
 その直後に(4年前)、退学するか、もう1度がんばってみるか悩んでいて、家族や担任との話し合いでは結論が出なかった学生に相談されて、夜中に3時間ファミレスで相談した事を、学生が担任に白状していきなり契約違反が発覚したという笑い話(もちろん、趣旨を理解してもらっていて、不問でした)以降、悩みだけでなく、一緒に色々な行事にも参加して、普段から色々な考え方も気付いてもらうようにしていたのです。
 というわけで、どのようなグループで出かけたのかが、ちょっと解り難いような表現で登場している日誌ネタの多くは、このコースのみんなとの作戦だと思っていいくらい、この5年間、色々な時間を一緒に過ごしたし、一緒に喜び、一緒に苦しみ、一緒に泣いた仲間達でした。
 特に、今年度は、本当に一緒に色々な事をやったなぁ〜というカンジで、そういう人間関係を育んでこれた環境が消え去るのは、実に残念だけど、多くの卒業生がいまだに交流がある、このみんなは、これからも大切にして行こうと思っています。

 というわけで、卒業式⇒謝恩会で終わらずに、連続大宴会になだれ込んだのは、もちろんの事で、これまた当然声がガラガラになってしまいました。
3月18日
 ライブドアのニッポン放送買収問題は、もしかしてワイドショーの週の最長放映時間1位になってもおかしくは無いんじゃないかという勢いで、会う人、会う人、「オマエ、あのネタ何で書かんねん。得意分野やろ?」と言われるものの、ある程度報道されている事と、その報道までの時間が早いので、「まぁ、わざわざ書くほどでもないだろう」と、ホントは自分の横着を棚上げしているだけなのに、書かない理由を挙げていたんだけど、オレと一緒に6年前に、今回のような財務関連を勉強した仲間でもあるTさんも、きっと昔勉強したTOBやLBOを思い出しながら報道を見ているに違いない・・・・と信じたい(Tさんが、勉強した事を忘れて、何の事か意味がわからないと宣言する可能性あり!?)

{LBO}
 昨夜から、にわかに取り上げられ始めたLBOだけど、これももちろん当初からフジを買収するなら選択肢に入っていただろうと、個人的にも考えていた手法ではあるものの、これはワイドショー等が言うほど実現が容易な手法でもないのです。
 LBOの手順は、きっと今夜も時間を割いてニュースで取り上げるはずなので、詳しくは触れないけど、ようするに今回の場合、まだ手に入れていないフジの資産を担保にして金を借りて、株式を購入するという方法で、極論すれば手持ち資金ゼロでも、巨大企業を支配できる手法と言われているものなんだけど、確かに、その説明は間違いではないものの、「じゃ、現金を持ち合わせていない人がトヨタを買収できるのか」というと、これはもちろん現実的ではないし、そこそこ資産がある会社がLBOを使って巨大な企業を買収するにしても、色々な前提が揃わないと現実的では無いのです。
 買収相手(今回はフジ)の資産を担保にと言っても、その色々な資産の評価は簡単ではないし、資産評価額以上の融資はできないのは当然なのです。
 そして、買収は、当然市場に出回っている株式を購入する事で実施するんだけど、今回のように感情的にも対立しているケースであれば、確実に過半数を買わなければならないのは、皆さんもお解りだと思うのです。
 それを買うだけの資金を融資してもらうわけだから、いわゆる金利(必ずしも金利として支払うわけではありませんが)も決して少なくないんだけど、その金利を支払う元の収入になるものは、あくまでも買収した株式の配当と買収した会社の利益の範囲に限られるのです。
 では、買収する会社の株価は、どのように決まっているかというと、もちろん市場相場なんだけど、非常に乱暴に言ってしまえば、1株当りの配当額から、様々な金融商品と比較した上で株価が決まる傾向があるので、配当が多い優良企業だと当然株価が高くなるために、買収するための費用も膨大になるのです。
 その膨大な費用を調達するための金利も大きくなるわけだから、経営的に優良企業だったのに、これまで配当が低く押さえられていたような会社をLBOで乗っ取るなら良いものの、経営内容に適切な配当を行っている会社だと、当然のように株価も上昇しているので、買収すると費用(当初の資金だけでなく、その後の利払いも含めて)がかかりすぎるのです。
 そうなると、いかに低利で資金を調達できるかがカギなんだけど、いくら何でも資産規模の1.5倍(しかも個人的には、この資産評価には個人的には疑問がある)も融資するような、低利の銀行はあるわけなく、後は、前回同様に調達コストがかかる資金に手を出す事にならざるを得ない可能性が高くなるわけです。
 しかも、LBOが明るみになった瞬間、この株式を持っていれば値上がりするという狙いで株価が上昇するだけでなく、実際に買い進んでいけば行くほど、株価が高水準を推移するに決まっているので、買収前の株価から、株式の過半数を購入する資金計画を立てていても、実際にはもっと必要になってしまうものなのです。(資金が必要になる=その後の金利が増加するという悪循環)
 さらに、今回はフジが大幅に配当を引上げる宣言を行ったので、LBOに入る前の段階で、株価が大きく上昇しているので、さらに資金が必要になるというのは、皆さんもわかりますよね?
 そういう非常に資金を調達するのに必要なコスト(金利など)がかかっている資金で、高水準を維持している株式の過半数を購入すると、買収した会社が継続的に生み出す利益の範囲内では金利を支払いきれなくなる可能性が出てくるのです。
 そうすると、資金繰りのために、買収した会社の資産や高収益部門の売却を余儀なくされるケースも出てくるために、LBOを実施する場合の鉄則としては、

1.資産から考えても異常に株価と配当が少ない会社である事。
2.低利の資金を調達できる事。
3.LBOと気付かれずに、闇討ちのようにサクッと済ませる事。(ただしTOBにならざるを得ない場合は、TOB宣言して一気に買収できる事)
4.買収する事で、自社との連携で、大幅な発展(利益の増加、配当の増加)が望めること。

 最低でも、この4つを守らないと、買収できなかったり、買収したけど、ばら売りする事になったとか、自社の財務内容が悪化したというような事になりかねないのです。
 1については、フジが大幅に配当を引上げる対策を取ったし、2は、少なくとも国内では難しいと思われるし、3は、前回のニッポン放送株を35%買収したという発表の時にも感じたんだけど、いつも中途半端な時に発表したり、情報が漏れているので、甘いなぁ感じているんのです。
 最後の4は、ホリエモン自身は、期待できると思っているようだけど、個人的には???ってカンジです。
 というワケで、オレがどっちを支持しているかはココには書かないけど、LBOをやるなら、今の段階で露見したんでは、完全にスタートの仕方は失敗です(姿見せながらネズミ捕りやってるようなもの)。
 皆さんも、見守ってみてください。
3月20日
 まずは、福岡地域の地震の災害に遭われた方、心からお見舞い申し上げます。
 これまでの空白地域に発生した地震なので〜と報道されているけど、個人的にも「明らかに日本周辺は地震の活動期に入ったなぁ」と実感せざるを得ません。

{実は}
 オレも地震の影響を受けた可能性が高かった1人だったのです。
 というのも、19、20日の予定が3つあって、1つは、いつもの常連のIさんの次なる車が納車になっていたので、周南市までの出張取付が1件、そして博多、小倉での所要が1件、最後の1件は、これまで何度も登場している、ある学校の同期会なのに、開催する度に参加者が増えてくる不思議なメンバーの飲み会だったのです。
 その中で、最も先に日程が決まったのが、その飲み会で20日の夜に決まっていたのです。
 そして19.20のどちらかで福岡エリアの所要を済ませる事になって日程を調整していたんだけど、Iさんからリクエストをいただき、「できれば19日かダメなら20日に」というご希望をいただいたのです。
 ここで、問題が1つ。
 福岡エリアの所要は、アレコレあって移動を重ねるだけでなく、大幅に時間を割かれるために、はっきり言って飲み会の時間には間に合わない事が確実なのです。
 この飲み会も、実は昨年夏の家族の入院以来参加していなくて、その間も「主役が居ないから、いつも盛り上がらないよ〜」などと嬉しい事を言われていたものの、なかなか参加する余裕が無かったし、今回久々にオレが参加と言うことで、みんなも盛り上がっているというのを聞いていたので、ドタキャンするのも心が痛かったのです。
 そこで、小市民のオレとしては、仕事のリクエストを最優先するべきだという点に矛盾を抱え色々悩んだ上で、Iさんに「もし20日で何の問題も無ければ20日でよいですか?」と伺ったところ、第1希望は19日だったにも関わらず快諾していただいたので、19日に福岡エリアの所要を済ませ、夜遅くに帰宅し、20日の朝に周南市に出張作業に出かける事にしたのです。
 予定どおり、19日は無事過ぎ去り、20日の早朝に2日連続の4時5時起床という、ネットショップの夜型人間としては眠気と戦いながら起きて、Iさんのところで出かけ、事前に集めていた資料とは違った仕様だったので、まさに目の覚めるような状況だったものの、取付位置の改良などで無事対処が完了し、広島に戻ってきている最中に地震が発生したわけなんだけど、運転中だったために、オレは全然気づかず、戻ってから夕方のニュースで知ってビックリでした。
 あの地震発生時刻は、JRの快速で小倉から博多に移動中で、博多に到着する直前という時刻だったので、Iさんに日程をひっくり返してもらえて無かったら、確実にオレは福岡での予定は消化できなかっただけでなく、帰りにも困っていたのは間違いないのです。
 というわけで、ちょっとした要因で、災難から免れたというような話は多いけど、今回はIさんと、専門学校卒業生1期のみんなのおかげで、難を逃れる事ができたという話でしたが、皆さんも地震に対する対策も考えてみてください。
3月23日
 年度末の標語!
 気をつけよう、年度末の陸運支局と道路工事?
 というワケで、今日は、出荷などを済ませて、午後軽自動車の登録抹消手続きに出かけたのです。
 軽の場合は、陸運支局ではなく正確には「軽自動車検査協会」なんだけど、元々かなり離れた位置にあった、この2つの機関が、昨年広島では一挙に移転して、同じ敷地内の同居する事になったのです。
 それまでの狭くて、ちょっとタイミングを逃せば駐車場の確保に困る、以前と違って、どしたんかい?と思うほどの駐車スペースがあるので、そういう心配は無くなったものの、行き着くまでの道路が片側1車線で何度も直角に折れ曲がる道なので、ちょっと交通量が多くなると、それだけで速度の変化による自然渋滞みたいになるのです。
 元々、そのルートは、どん詰まりにマリーナがあって、後はイタリアンの店がある程度だし、その手前も学校などがあっても、基本的には自転車での移動が中心だから、その程度だと問題無いものの、何と先週、広島初のアウトレットが陸運支局の先に出来ちゃったもんだから、週末は何キロも手前の国道から大渋滞で、バスを降りて歩いた方が先に店に到着するなんて状態だったらしいのです。
 今日は、さすがに平日だし・・・・なんていうのは甘い考えで、やっぱりシッカリと渋滞で、年度末は陸運支局でも相当待たされるのを覚悟しなければいけないのに、その手前でも、こんなに待たされるんかい!?と悪態をつくような状況だったのです。
 LBOの件で登場した、以前一緒に勉強したTさんネタをついでに膨らませると、当時改正される直前の法律として「大店立地法」というのがあって、ある規模以上の商業施設に関しては、当時の「大店法」の主な規制の営業時間や休日だけでなく、周辺の環境や車の流れなどについても規制がかかる総合的な法律(現在施行されてます)なんだけど、オレは、この陸運支局の先にアウトレットなんか作ったら、渋滞するだろうけど、「大店立地法」にひっかからないのか?と思っていて、認可するには、道路の拡張を行うのか、もしかして混雑するのは最初だけで、すぐに客足が少なくなるのをまさか見越しているなんてアホな思惑じゃないだろうなぁ?と悪態をついていたんだけど、まさに悪態をつきたいような渋滞です。
 ま、いくら何でも、平日にこんなに渋滞するのは、最初だけだろうし、陸運支局は平日しか営業していないので、しばらくすれば大丈夫だと思うけど、年度末までカウントダウンになってきた今日この頃、もし皆さんの中で、広島陸運支局、検査協会に用事がある方は、時間にタップリと余裕を見込んで出かけないと、到着したら対応時間終了という事になりかねませんから注意してくださいね。

{Tさんの反応}
 18日の日誌を読んで、Tさんから早速メールが届いたのです。
 TOB、LBOの言葉の意味だけはかろうじて覚えていたと豪語しておりました。
 ちなみに、Tさんには、これほど大規模にTOBが報道される事になった事より、なぜ4つの条件が整わないとLBOを使ったTOBが成功しないかという事を説明できない事より、ああいった内容をオレと一緒に勉強したのが、もう6年も前だった事のほうがビックリなんだそうです。。。。(あぁ。平和じゃね!??)
 それがTさんの良いところです。
3月27日
 まずは、昨日の話だけど、起きてみると一面の雪景色!
 広島は温暖で雪も降りそうも無いと想像している方にとっては、3月末の雪というのは信じられないかも知れないし、事実、広島の民放でも「季節はずれの雪」として取り上げられていました。
 ただ、個人的には、日誌で書いているように、太陰暦を使った季節で考えると、去年と今年の春が遅いのは当たり前(言い換えれば、2シーズン連続冬の入りが遅かったのも当たり前という事になります)で、太陽暦のカレンダーに無理矢理合わせようとするから話がややこしくなるだけだと思っているのです。

{株主のモノ?}
 今回の騒動で、ようやく日本でも議論されるようになった会社の所有者は誰かという話です。
 オレの、先日書いたように、独立する前(6年前)に、お気楽Tさん達と少しだけ勉強した際に、まだ当時はあまり世間で認知されていなかったこのテーマについても勉強したのです。
 ま、確かに商法という民法の中の特別法では株主に会社の所有権があるように謳われているのは間違いないのです。
 だから、ある意味ホリエモンが株主のものと言っても、それ自体は明らかに間違っているという事では無いんだけど、個人的には少し違った考え方をしています。
 今回の事で、ステークホルダーは株主だとか、株主に最大限の利益をもたらすのが経営者の責務だというような事と、その対極である会社は従業員のものであるというような議論ばかり目に付くんだけど、オレの持論として、講義とか、会社を経営する立場にある方々から聞かれるときにはこんなふうに答えてます。

 法的には株主のものであるのは間違いないものの、専制君主的な所有者である事を許されているのではないと思っているのです。先ほど触れたよくある質問のように、株主の利害と経営者の利害、そして従業員の利害は相反するがごとく言われているんだけど、株主の短期的利益を優先すると、今回のような騒動になって従業員から強い反発があるだけでなく、良い仕事さえもできる環境にはならないくなるのです。また顧客不在の施策で利益を上げても、結局長期的には、お客さんは会社を支持しなくなるので、結果として株主に利益をもたらす事はできなくなるのです。
 そういう点をちゃんと考えると、昔からある日本での「なんとなく仲良く」という意味での協調路線的な「どの立場も大事」という意味とは別に、従業員や顧客を大切にしなければ株主を大切にできないのです。
 逆の立場で言えば、そういう個々の立場の利害関係者が立場上の道義的責任なども考慮に入れながら、全体として事業を運営できるように見守って、それを遵守できない問題のある経営者が存在した時に、会社の主権を持つ存在として、会社の所有者権限を行使できるのが株主という事だと思うのです。(一家の主だからと言って、家庭内で何でもやって良いというワケじゃないのと同じ)
 つぎに、どんな株主もありがたい存在なのか・・・という話になるんだけど、あくまでも個人的な考えで言うと、売買相場での利益を考える株主よりは、長期的に保有してくれる株主のほうが、結果として会社にも、従業員にも顧客にも、そして巡り巡って株主にもプラスにできる環境を整備できるという事です。(これは某JR社長も似た事をコメントしてました)

 これも個人的な見方だけど、ホリエモンは、机上の知識・方法論だけで、あたかもそれが可能だと思い込んでいたフシがたくさんオレには見受けられました。
 財務、金融を勉強するのは悪い事ではないけど、ビジネススクールのような環境で学んだ表面的手法は、あくまでも基本的手法に過ぎず、冷静に、そして本当に自分達だけでなく、周りの利害関係者にプラスになるアプローチを考えるには、もっと人間心理も理解する必要があるし、もう1つ事業を行う上で大切なポイントに気づいていないのではないかという気がしてます。
 ついでに言えば、剣術の名人だと、向かい合った瞬間に結果がわかってしまうというのは、ある程度スキルを持ち合わせた人であれば、どの業界でも同じだというのがオレの考えなんだけど、今回の件も同様で、具体的に細かな内容はともかく、大まかな終局のパターンは見えているようなものです。(あくまでも個人的見方だけど)

{もう1つ}
 このまま書き終わると、絶対?に「もう1つはどうなった!」とお叱りのメールをいただきそうなので、叱られないうちに触れます(笑)
 これも、機会があると話している事なので、オレと付き合いが深い方の中には、すでに耳にされている方もいると思うんだけど、事業を始める時には、とても大きなモチベーションが必要なので、「ちょっと〜ならいいなぁ」という程度では、なかなか事業を始める事はできないし、できていないはずです。
 言い換えれば、それだけの動機づけが必要でもあるという事なんだけど、多くの会社や、会社の経営者を見ていると、「あぁ、この人、自分のコンプレックスを動機づけにしているなぁ」と思える事が少なくありません。
 コンプレックスというと聞こえが悪いかも知れないけど、コンプレックスによって、世間では見過ごされている事を見て感じているという事も少なくないので、起業の動機としてコンプレックスが根底にある事自体は悪いわけではないのです。
 ただ、問題なのは、起業してからも、そのコンプレックスを満足させるために事業運営を行っているとしか思えない運営方法や経営判断を行っている会社や組織が極めて多い事なのです。
 それに気づかないと、結局自分や自分の会社にとってプラスにならない事に血道を上げる結果になるし、それが崩壊の原因になる事も多いので、それについてはアドバイスする事もあるんだけど、コンプレックスに洗脳されている状態の人(この場合、経営者や組織のキーマン)には、とても聞く耳を持てる心理状態じゃないので、自分の満足するような方法に突き進み、結果として崩壊をしているのを、たくさん見るのは残念です。
 深い話や実際に一緒に何かをした方ならわかると思うけど、オレは自分流を押し付ける事は極めて少なくて、強固に主張する場合は、方法論が許容される局面ではなく、それ以前にある必ずちゃんと考えるべき、基本的な事項について主張しているはず(なのに、自己主張を曲げないヤツだと勘違いされるケースもあるのです)で、それを無視して、自分の(コンプレックスなどに裏打ちされただけの)感情的判断に突き進んだ会社や組織(学校にもそういうところが存在します)は、残念ながら例外なく失敗の方程式のシナリオどおりに崩壊していったのです。(現在進行形のところもあります)
 これは、オレが正しいというのではないんだけど、そういう基本的事項を大切にして、選択肢として許される方法のどれを選択するから、具体的にはどのような手順をを踏むべきか、そしてその際に様々な立場の利害関係者をどのように大切にするかを(少なくとも客観的には)考えてなかったという事なんだろうと思ってます。

 今回の騒動では、何がコンプレックスか、コンプレックスを満足させるような経営方針は何かという具体的なことは、ここには書かないけど、皆さんも想像してみてください。
 ちなみに、回答を送っていただくのは、いつもどおりOKだけど、「なんぞ」は差し上げませんよ。
4月1日
 みなさん、オフィス・トワイライトは本日をもって、東京1部に上場する事になりました。
 今後ともご愛顧よろしくお願いします・・・なんてウソじゃエイプリルフールとしては面白くないわなぁ。。
 じゃ、今日珍しく車にワックスをかけました・・・・絶対にウソだと思われるだろうなぁ・・・・でもホントです。
 ちなみに明日は雨だそうです(爆)

{個人情報保護法}
 今日施行された例の法律だけど、その趣旨を活かして対応策を考える事は当然だし、望ましい事でもあるけど、どうも見ていると暴走かも?と思えるような不思議な話が少なくなくて、ちょっと紹介すると数日前の新聞を見ていると、国家試験か何かの合格者発表で、2面にわたってカタカナの羅列だったのです。
 なんじゃ、この奇怪なページは?と思ったんだけど、どうも漢字で合格者を発表すると、個人情報保護の観点で宜しくないと考えた上での配慮らしいんだけど、合格を確認したい受験者にとっては、同姓同名の別人の特定に今まで以上に問題が生じるだろうし、漢字での公表をカタカナにすれば、何か保護の観点で実効的な違いが生じるとは思えない・・・ですよね?
 本当に合格者の姓名を発表する事が望ましくない具体的何かがあれば新聞発表という方法を見直すべきだし、発表するなら特定が難しくなるようなカタカナ表記をするべきではないと思うのは、オレだけなんでしょうか??

 今日のニュースで取り上げられていたネタとしても、ある病院で病室の入り口のネームプレートを廃止したという病院が報道されていたのです。
 それに加えて、希望者はベッドのネームプレートも廃止するそうだけど、これで誤診や処置の取り違えがあったらどうすんねん!という気がするのもオレだけなんでしょうか?
 ウチは、ご存知の方ならお解りだと思うけど、例えば、トワイライト・トピックの配信を希望されている方以外には、商品を買ってもらった方であっても、勝手に広告宣伝メールさえ送っていないので、流出、売却はもちろん、ウチの中での情報の流用もしていないけど、一度問合せたら、続々宣伝広告メールが送られてくるというケースは、趣旨から考えるとちょっと問題ある情報の取扱じゃないかという気が、オープン当初からしていて、そういう作戦はやっていなかったし、名簿を買うなんて行為は全く関心がありませんでした。

 さらに、もう1つ取り上げるとすると、例えば、昨日も某W有料放送会社からDMが届いていて、開封してみると某N通信会社のDMが入っていて「ご加入者の皆様へ”某W有料放送会社”からトク種情報です」といかにも、オレが契約している”某W有料放送会社”からのDMを装っているし、きっと良心的に判断すれば、決して個人情報を某N通信会社に売却しているわけではないはずだけど、実際には、DMを配布するための費用が動いているはずだから、表面的な情報売却をしていないものの、趣旨からいうと情報流出に該当する話じゃないのか?という気がしているんだけど、こういう手って、結構多いですよね?

(オマケ)
 学校でも、やたらと個人情報には厳しくなっていて、ある意味それは正しい事だと思うけど、最近は、横の結びつきが強く、地域に密着している小学校でも、クラスの名簿というのは各家庭に配布されないらしいのです。
 ま、確かに他の児童の家庭に、住所を知られたくないという家庭もあるとは思うので、それ自体が悪い事だとは思わないけど、卒業名簿にはシッカリと巻末に連絡先が載ってたりするとマヌケな話じゃないのかと思ったり、そのうち、本名を公表するのはいかがなものか?などとワケのわからない話になって、ハンドルネームならぬ、スクールネームかなんかを生徒同士だけでなく、教員も使う時代が来てしまうかも知れません・・・・どんな世の中やねん。
4月9日
 皆さん、突然質問ですが、マルタって知ってますか?
 ログハウスに使う丸太じゃなくて、ミュージシャンのMALTAじゃありません。
 いわゆる国名のマルタなんだけど、かなり多くの人が「そんな国あったか?」という認識じゃないかと思って勝手に想像しています。(失礼でスンマセン)
 その、決してメジャーとは言えない国に単身乗り込むAちゃんが、今日の始発の新幹線で広島を発つので、オレも4時に起きて見送りに行ってきたのです。
 このAちゃんは、すでに何度か日誌に登場していて、当時オレが登板していた専門学校の学生だったものの、オレの教え子ではないという関係(オレが担当していなかった学生)からのつながりで、担当していたワケではないのに、新枝ワールド(担当する学生達との世界!?)に、あっという間に溶け込んで、卒業後も今に至るという状況で、過去の日誌には、「加藤あいソックリ」などと紹介しているコです。
 マルタに1年間行って来るというのを聞いたのが、先月じゃなくて今月の1日だったら、「オマエ、エイプリルフールだからと言って、もうちょっとそれらしいウソにしたら?」などと受け流すところだったんだけど、さすがに深夜わざわざ長時間冗談で話すネタとは思えないので、不肖の新枝でも信じる事にしたんだけど、それからこの2週間の間に、「何で今まで考えてなかったんや?」とか、「まさか、それも準備してなかったわけ?」というような具体的問題をケツに火がついた土壇場状態で一緒に考えて準備して、ようやく何とか間に合いました。
 そして迎えた今朝6時前に広島駅で見送りのために待ち合わせしたんだけど、ちょっと想定外でご両親と一緒に登場でした。
 ま、1年間の別れになるんだから、家族が見送りに来るのは当たり前と言えば当たり前だけど、意味不明でオレは少し焦った事(ホントにありがちな意味があるわけでは無いのに、こういうシチュエーションだと焦るのは男性ならわかりますよね)と、親子の別れの会話をあまり邪魔してはいけないと思い、色々話したかった事を十分に話せなかったのだけは非常に残念でした。
 ま、向こうに到着して、メール環境が日本語ダメであっても、日本語でメールのやりとりができるための、トリプルアクセルのような必殺技も編み出しているので、様子はメールと画像で確認できそうで、メジャーな国で無いだけ、今後の1年間が楽しみです。
 ちなみに、この件に関連して、ウチのサイトで、ある企画をスタートさせるかも知れませんから、またスタートできるようになったらご紹介します。

{Aちゃん失敗ネタNo.1 リージョンナンバー事件}
 日本ハムの新庄が、ニューヨークに渡る松井に最初にアドバイスした言葉はみなさん覚えてますか?
 「DVDはたくさん持っていったほうが良い」というコメントなんだけど、その新庄のアドバイスを覚えていたかどうか知らないけど、今回の荷物の中にはお気に入りのDVDソフトが何点かあるらしいんだけど、Aちゃん、何と日本製のDVDソフトが海外のDVDプレーヤーで再生できないというのを、DVD所持者であるにも関わらず知らなかったようなのです。
 「え?地域ごとにリージョンがあるのを、マジで知らないの?」とオレが聞き返したくらいなんだけど、向こうのDVDプレーヤーで再生できないのを知って、パソコンを持って行くかどうか迷っていたのを、持って行く事に決断したそうです。(おぉ!深きDVDソフトへの愛情!?)
 また、VHSビデオデッキについても、日本のビデオデッキを電圧変換器を用いて海外で使用した場合、実は必ず再生できるとは限らないという事実も知らなかったようなので一緒に教えたんだけど、日本の映像形式はNTSCという方式で、これは日本、アメリカ、韓国(もだったと記憶してます)では当たり前の方式だけど、ヨーロッパでは意外と少数派なので、もしこのリージョン同様「へぇ〜」と思われた方、海外に長期滞在する場合は、事前にチェックしてくださいね。
4月11日
 あっという間にざくら」(意味無く、色もイメージしてみました・・・笑)です。
 個人的には、もう暑い季節へ突入したんだけど、皆さんはいかがですか?

{処分の考え方}
 廃棄物の処分の話でも、車のリサイクル法関連の話でもありません。
 昨日の新聞を読んでいると、個人的には驚がく的な記事がベタ記事扱いで掲載されていたんだけど、要約すると「救命士が救急車で搬送した先(病院)で、その患者が心停止になったので、(その病院にあった)手動式の除細動器を使用して蘇生を行った。一旦蘇生した患者は、その後亡くなった。救命士は、駆けつけた現場と救急車内に限って、そして半自動方式の除細動器に限って使用が許されるため、救急車から一旦降ろしてからは処置する事や手動式除細動器の使用を認められていないので、何らかの処分を含めて検討している」とサラッと書かれていたのです。
 確かに、救命士の許される医療行為には一定の制限があるし、その規制の条文だけを読めば、そのとおりだと思う。
 しかし、それはいわゆる患者のためにどう関わるのが最善の結果をもたらす事ができるかという趣旨で考えられた正常時における守備範囲という考え方のはずで、何も他を押しのけてまで、ルールを逸脱する必然性も無いわけだから、実際の状況を調べないと何とも言えないものの、もし搬送先の病院の体制、もしくはスタッフが的確な処置ができる状況ではないために、やむを得ずルール違反を承知で処置したとした場合、これを処分の対象にして良いのかというと、決してよい事とは思えないというのがオレの見解です。

 しかも、除細動器を使用したことで一旦蘇生に成功しているのです。
 そういう事まで考えた場合、もし搬送先のスタッフが(休日体制であったために、救急処置に慣れていない当直医が担当した可能性や、すでに搬送された患者などで手一杯であった場合)対応できない状況だったとしたら、それを確認し切れなかった救急隊長、病院の受け入れ窓口、消防局の指令などの確認体制に問題がある話で、指示どおり搬送したら、その先で手におえなかったとか、急変したけど対処できない様子を見かねて、次善の策を講じるべく、基本的な知識を持ち合わせている救命士が手を下したからと言って処分して済む話ではないはずなのです。
 ましてや、オレも努力中の救命処置という分野における認識としては、結果が不幸な結果であっても、もし何とかなる可能性があれば努力するのが、あるべき姿勢だという認識があるし、その処置の甲斐なく不幸な結果になった場合は、明らかに予見可能なミスなどは除き、責任を追及しないというのが常識のはずで、救命士は救急蘇生の知識も、タイプが異なっていても、除細動器の適応や処置も熟知していて、ルールをはみ出しているのを覚悟で、患者のために蘇生を実施して一旦蘇生しているのに処分などを検討されたら、誰も、人のためにがんばる事ができなくなる風潮が生まれる事が最もマズイと思うのです。

 野球の守備だって、レフトに飛んだボールはレフトが取るのが当たり前で、レフトを押しのけてセンターが取るのは問題にされてしょうがないけど、レフトが転倒したのを見て、無理して走ったセンターがギリギリでキャッチできなかったからと言ってエラーにもならないし責められないし、ましてや同じ状況でキャッチできればファインプレート賞賛されるはずなのです。
 そういう事から、今回の事も同じ趣旨で判断するべきだと思うし、これと同じ問題は、職場の仕事でもよく起こっていて、趣旨から言うとファインプレーなのに、表面的ルールで言うと単なるルール違反に扱われて、本人のやる気を無くしただけでなく、ファインプレーをしようという職場の雰囲気まで無くしてしまうような処分って、結構会社でも多いんですよね。(オレはサラリーマン時代に、そういう表面的ルールによる処分には、強く抵抗していて、後輩の処分を巡って、上司といつもやりあっていました)
 だから、この件はもっと子細も、結果も後追い取材で確認して報道してもらいたいと思っています。
4月17日
 絶好の天気の日曜なので、外に繰り出した方も多かったんじゃないかと想像しつつ、ナビ取付作業をやってきました。
 今日のお客さんであるOさんは、きっと片道1時間半もの時間をかけて、いつもウチを利用してくれる実に感謝すべき方で、先週末はご自分の車のタイヤ交換、今日は、納車になった奥さんの車のナビと、2週連続だから2往復で6時間も往復に費やしていただいたと思うと、実に頭が下がる思いです。
 事前に取付キットが2種類のどちらか判断できず(メーカー担当者も”わからん”と嘆いていました)、メーカーの協力もあって2つ用意していたので、バックカメラの装着可否など若干の不安はあったものの、無事作業が完了したんだけど、今回使用したカメラの解像度の素晴らしさに、Oさん、昔Oさんを紹介してもらったMさん、そしてオレの3人で「おぉ!キレイじゃ」と驚嘆の声をあげました!!

{紹介してもらうのは喜ばしいものの・・・}
 ガラッと話は変わって、少し前の土曜日、ひょんな縁から常連の仲間入りをしたTクンから電話があったのです。
 「あ〜新枝さん、お久しぶりです。ちょっと聞いてみたいんですが、オカマ掘った車ってどのくらいで直るんですかね」
 Tクンは、会えば”いいヤツ”って感じなのは誰しも思うと確信できるキャラなんだけど、こういう漠然とし過ぎて回答しようのない質問をするのが玉にキズ(笑)で、いつも「それじゃサッパリわからんじゃんか!?」と突っ込みを入れているんだけど、今回の同様なので、「車は何?ボンネットの先端は損傷がある?」などと、なるべくディティールがわかるような質問をすると「ボンネットは、中央部分でクの字に曲がってます。新枝さんのとこで安く直せますかねぇ」というので、こりゃフレームも損傷がある可能性が高いなぁと考え、「もしかすると10〜20万円で直る事故じゃ無いかも知れないよ。」と伝えたんだけど、実はこのTクンは200km先に住んでいるのです。
 「ちなみに、誰の車?」と聞くと、「知り合いの車なんですよ」というので、彼の知り合いなんであれば、修理するかどうか(古い車だったので買い換えの可能性があった)は別として、取りに行くくらいは急いで時間を確保しようと思いながら、Tクンの説明を聞いていると、彼は単なる通りすがりで、目の前で事故をした人なんだそうです。
 「え!それで事故した人が知り合いだったわけ?」と、さすが小さな町だなぁと思いながら聞き返すと「いやいや、さっき知り合いになったんですよ」というのです。
 「そりゃ、赤の他人同然じゃん」と言ったものの、「知り合ったばかりの知り合い」だと言い張るので、きっとカワイイ女の子なのかと思いきや、ハズレでした(名誉のためにストレートには書けません)。
 ウチを利用していただくかどうかは別として、後悔しない判断手順など、いくつかのアドバイスをした後に、「じゃ、それで相談してから、また電話します」という事で一旦切れたんだけど、しばらくしてかかってきたら、その人に、「とっても良い対応をしてくれて、良心的価格なオススメの店があると紹介したんだけど、地元で直す事になりそうです」と、実に残念そうにTクンが言うのです。
 ま、そこまで宣伝してくれるのは、お店をやる人間にとって、これほど嬉しい事は無いんだけど、ただ、見ず知らずの人(彼は、もう知り合いだと言うけど・・・)に、200km先の店が良い店だと紹介されても、マジっすか!そこでお願いしますm(_ _)m」なんて話には、普通はならない・・・・ですよね?
 Tクンは、Tクンの友達に紹介されて、ウチを利用するようになったんだけど、友達の紹介でも、はるか200km先のウチを利用する気になったというのが、少なくとも世間一般的な行動ではないというのを、どうやら自覚していないようです(笑)
 ましてや、長年の友達ではなく、見ず知らずの人に紹介されても、ホントに良いかどうか不安になるのも当たり前だというのをTクンに伝えたんだけど、200kmのハンデがあってもメリットがあると信じて疑わなかったTクンには、心から感謝でした。
4月19日
 ニッポン放送を巡る攻防に一応メドがついた昨日のニュースは、ホントに特別報道番組ネタ一歩手前と言っても良いくらい、昨夜からかなりの時間を割いて報道されていたので、皆さんもご覧になった方が多いと思うのです。
 あの決着をどう判断されるかは、それぞれの方の考え方や、優先されるポイントが違う事もあるので判断に個人差があるのは当然だし、どっちが勝ったとか負けたなんてカンタンに1つの側面で計れる事象じゃないので、すぐに白黒つけさせたがる報道番組のキャスター(実際には、ディレクターがそう言わせているんだろうけど)にも困ったものだというのがオレの印象です。

 表面的な部分では、希望を叶えさせているものの、ここからのイニシアティブを考えると、何も手の打ちようが無いという状況に封じ込めているのが今回の和解案で、一応振り上げた手を下ろせるように、メンツを立てた(口実を用意した)ように見える決着に過ぎないと思うし、ライブドアに爆弾を入れているようなものなので、表面的なごまかしのために、念願(業務提携)が叶ったと喜色満面で受け答えをしているならともかく、あれが本心だったとしたら@@以外の何者でもありません。(思わず伏字にしちゃいました)
 また、以前から何かにつけ触れていてオレのお願いでもあるんだけど、報道に携わる方も、もう少し勉強してから報道内容を作り上げて欲しいなぁと感じるのは、リーマンへの転換社債でニッポン放送の株を買収したので、ダタでニッポン放送株を入手しているのに、それを現金で売却したので儲けたようなものだという視点や、440億円の第三者割り当てをフジが引き受けたから、それがあたかも和解金として440億円献上したような報道があるけど、アレは寄付でも何でもなくて、色々な側面で利用価値がある事を知って欲しい気がします。(風が吹けば、桶屋が儲かる式の波及効果をしっかりと考えてもらいたいと思っています)

 また、結果としてフジはニッポン放送株の買収に必要としていた予算1,710億円を株自体の取得においても大幅に超過したという点も失敗として責められているようだけど、当初のTOBと今回の決着とは、前提条件(株式占有率)が違っているので、投下した資金は予定とは違うものの、その後、違った結果によって回収できる部分を、まったく考慮に入れてないので、ある断面だけの評価に過ぎないと思っています。(ここらへんの考え方の甘さについても、多分SBIの北尾さんは指摘していると思う)
 こういったモノの見方は、単に新枝流と思っていただいて構わないけど、これを見て、率直なトークを聞きたいという方は、顔を合わせるときにでも言ってもらえれば話しますね。
 よく、株の売買や会社に対する考え方に「一石を投じた」という事を評価する評論家も少なくないものの、オレとしては「一石を投じる」つもりで行動する事と、行動したら、その業界などで「一石を投じられた」と問題意識を持つ事は、全く違う事だと思っているからです。
4月21日 悲報
 今日もマジメに仕事をしていた昼過ぎの事、「但馬空港で小型機が墜落、操縦していた男性は心肺停止状態。飛行機はアクロもできる小型機」という情報を目にした時には、きっとエアロスバルという日本製の軽飛行機(現在は生産中止)が、着陸進入中に事故を起こしたくらいに考えていたのです。
 ところが、その後伝わってくる情報を見ると、この日誌でも2004年4月5日に紹介していたロック岩崎こと、岩崎貴弘さんがアクロ訓練中に墜落事故に遭ったという事がわかって、あまりにも大きな衝撃なので、少しの間、何も手につかない状況でした。
 この岩崎さんは、オレが昔、成り損なった航空自衛隊の元戦闘機パイロットで、最終機種はF-15Jイーグルに搭乗していて、卓越した操縦テクニックと空戦理論は、飛行隊の中でもずば抜けていたため、岩崎さんのテクニックを見て、真似しようと思うパイロットに、幹部が思わず「***(操縦テクの名称)は、岩崎以外は禁止!」というダメ出しを出すほど凄いパイロットだったのです。
 その岩崎さんが航空自衛隊を退官したのは、いつまでも飛んでいたいという理由でした。
 平気で9Gがかかる旋回を要求されるイーグルでのパイロット寿命は長くなく、そろそろパイロット資格を持った地上職か、教育部隊の教官などにコンバートしなければいけない時期に差し掛かった10年ほど前だったんだけど、自分1人でのアクロからスタートして、娘さんがナレーションを担当していたのを、当時のエアショーを見たオレは、「アクロだけでなく、いいモノを見せてくれるなぁ」と感心していたのです。
 その後、2機体制になって、編隊アクロの妙味を見せてくれるようになって、とことんアクロの楽しさを、少しでも多くの人に見てもらえればと、オレも願っていたし岩崎さん自身も「70歳までアクロで飛びたい」と言っていたのに、17年も早く、こういう形で飛行機から離れなければならないなんて、本当にオレも残念です。

 この岩崎さんのパイロットとしての話は、講師としての仕事の時にも取り上げる事があったので、日誌を読んでもらっている方の中には、オレの取り上げた話を聞いた事がある方もいるのではないかと思うんだけど、この岩崎さん、超名人級になるまでは、何と「エアシック」に悩まされていたという意外な経歴を持っているのです。
 エアシックというのは、飛行機酔いの事で、自分で練習機を操縦している最中も、相当苦労していたらしく、教育訓練過程で適性なしとしてクビになりかけた事もあったそうなのです。
 その岩崎さんが、操縦する際の、操縦桿、ラダーなどの使い方の微妙なコントロールによって、滑りを押さえた操縦ができれば、思いっきり負荷をかけても大丈夫という事に気付き、それでエアシックを乗り越えただけでなく、他のパイロットだと誤差範囲内にくくってしまうような領域の細かなコントロールを身につける事で、他の人には真似できないような操縦ができるようになったという経緯があったのです。
 世間では、苦手なものは、その人の弱点だから、仕事をするなら苦手なものを避け、得意なものに力を注げという考え方が当たり前のように語られているものの、オレは苦手なものを徹底研究する事で、同じものを得意としている人以上の何かを掴めるケースが多いという事を伝えるために、岩崎さんのエアシック事件を引用していたのです。
 本当に悔やんでも悔やみきれない今日の事故だけど、唯一良かったのは、トラフィックのほとんどない空港滑走路上空での訓練中だったため、第3者を巻き込まなかった事です。
 4年前に起きた、T-33Aという練習機の故障の時に、市街地への墜落を避けるために、最後の最後まで脱出せずに、機体をコントロールして亡くなられた2名の航空自衛隊パイロット同様、岩崎さんも、空を愛する者の責任として、地上の人間を守る事は、自分の命よりも大切にする事だと思っていたはずだから。

 岩崎さんが退官してアクロを始めてからというもの、オレの周辺にいる航空自衛隊関係者に、事ある毎に「チャンスがあったら岩崎さんと話させてね〜」とお願い攻撃をしていたのも、叶わぬ願いになってしまいました。
4月25日
 ここ数日のHPアクセスログを見ていると、異常なくらい日誌と過去の日誌2004年4月分のアクセスが増加していて、これはきっとロック岩崎さんの悲報を知られた方が、ネットでキーワード検索をされた結果、ウチのHPもヒットしたのではないかと想像しているんだけど、言い換えれば、それだけロック岩崎さんは多くの人の共感を得ていたパイロットなんだと思うので、改めてその存在の大きさを実感せざるを得ないというのがオレの正直な気持ちです。
 事故の翌々日のアクロバットチームのHPには、早くもマネージャーを兼務されている岩崎さんの奥様とスタッフの名前で、コメントを掲載されていて、告別式会場などの案内もあったので、最後に岩崎さんを見送りたいとご希望の方は、参考にしてください。

エアロック・エアロバティックチームHP  http://www.airock.co.jp/
告別式:4月27日(水) 13:00より
式場 :セレモニア富士 水戸駅南館
     〒310-0801 水戸市桜川2-5-11

{今日の事故}
 先ほど、JR福知山線(宝塚線)の列車事故の速報が入ってきたんだけど、その画像を見ると驚きを隠せないほどのひどい損傷なのは、この時刻以降(AM10:30)の報道をご覧になられれば、皆さんもお解りだと思います。
 今の部分的な情報の中では、踏み切り付近での事故とされているものの、横断中の車との衝突事故ではなく、先に脱線していて、周辺の車を巻き込んだという情報もあるんだけど、その真偽は後の報道を待つとして、最近5〜6年に起きた鉄道事故から、個人的に感じている点について触れてみようと思います。

 あくまでも個人的な印象なんだけど、昔の鉄道事故(特に踏み切りでの衝突)は、車は大破しているのに対して、鉄道車両は比較的小さな破損で済むというケースが多かったように思うのです。
 それでも脱線する事もあったし、不幸にも先頭部分は大破して運転士は亡くなるという事もあるものの、そう多いケースではなかったように感じているのです。
 ところが、最近の事故の場合、ちょっと変化があるように思うのは、オレだけでしょうか?
 事故の防止策として、踏切内に車が残っていると、光学的なセンサーで異常を知らせ、事前にブレーキを掛ける事ができるシステムなどが、幹線ではかなり普及して、事故を防ぐというアクティブセイフティの観点では、かなり改善しているのは間違いなく評価できる事だと思うのです。
 しかし、事故が発生した際の、被害を最小限にするという点では、以前よりも悪化しているのではないかという気がしているのです。
 その背景原因として個人的に推測しているのは、まず鉄道が高速化しているという事です。
 高速で衝突すると、速度比の2乗に比例してエネルギーが増加するために、大きな抑止エネルギーが加わるのは、誰でもお解りだと思うので、これは省略します。
 もう1つの問題は、その高速化を実現するために、鉄道車両の軽量化が進んでいる事なのです。
 重量が大きいと、相対的に軽いものに衝突した場合、慣性力が働くために急激な運動エネルギーの減少が少ないため、中にいる人間にとって、大きなダメージを受けにくいという傾向があるんだけど、軽量化によって、以前より急激に運動エネルギーが減少してしまうために、乗客へのダメージが大きくなる傾向があると思われるのです。
 さらに、軽量化を実現する上で、昔の鉄道車両の構造と、今の構造は大きく思想が変化しているために、重量物への衝突(電車同士の衝突とか、大型トラックや、今回のようなビルという構造物への衝突)等の場合の、車両の損傷が驚くほどひどくなっているように感じています。
 皆さんも、自動車の衝突安全関連の情報でご存知だとは思うけど、ある程度客室部分が変形するのは、エネルギーを吸収させる上で意味があるんだけど、今回の事故のマンションと2両目の間に挟まれていた車両ほどつぶれてしまうと、衝撃による怪我だけでなく、車両の構体に挟まれて致命傷になるケースも多くなると思うので、高速化、乗り心地の改善も大切だけど、事故の際のパッシブセイフティの観点からの車両構造の研究をしてもらいたいというのが、最近のオレの願いでもあります。
4月26日
{地震雲}
 実は、日曜の日誌に書こうかどうか迷った上で結局書かなかったんだけど、西日本の方は、東西に地震雲と思われるような雲が午前中から夕方にかけてはっきりと現れていたのをお気づきだったかも知れません。
 これが間違いなく地震雲だったのかどうかは、断定できるわけではないものの、東西に伸びている事から関西だけでなく、また福岡が震源地になる可能性もあり、とても嫌な気持ちで観察していたのです。
 単なる誤認とか、地震雲が出ていても、地震は発生しなかったという結果になる事を願いつつ見守っていたんだけど、昨日、九州のお客さんから次のような相談が寄せられたので、似た経験をお持ちの方がいらっしゃったら教えてもらうためにも、ちょっと紹介する事にしたのです。

 そのお客さんは、先日の震度5強の地震の際に防犯装置が誤作動していたのです。
 あれだけ揺れれば、振動検知で作動すること事態は、まったく不思議でも何でもない事だけど、振動検知が作動していたのではなく、ドアが開けられたという異常だったのです。
 ちなみに、この車は特殊な回路のため、ドアスイッチの検出線は接続されていないので、実際に開けられた事も無いはずなのです。
 その時に仮説の1つとして打ち出していたのが、地震による地中から大気に放出される磁力線などによる誤作動の可能性だったんだけど、今回、また地震雲が発生した時に、誤作動が生じているため、かなり真実味を帯びた仮説になってきたのです。
 そこで、皆さんの経験で、地震の前後に防犯装置がおかしな動作をされたご経験をお持ちの方がいらっしゃったら、今後の研究と、対策、そしてメーカーへの改善提案のために、是非情報提供していただくようにお願いします。

{JR事故}
 昨日の事故は、状況がわかるにつれて、本当に大変な事態になってしまいましたね。
 事故に遭われた方には、心からお見舞い申し上げます。

 昨日から報道されているのを仕事の合間に見ていると、どうも一部の番組に、とても専門家とは言えない評論家がコメントしているのは、「またかぁ」とため息をつかざるを得ないのは悲しい事です。
 具体的に、誰がダメな評論家だと、ここでは言わないけど、専門家でありながら予断や思い込みによるコメントは、多くの方の誤解も招くので、いくつかのキーワードに関して少し解説を書いておきます。(オレは、ディーラー時代から、安全対策や危機管理に関する事の研究のために、色々な他業種の細かな手順や考え方、そしてそれに携わる方から勉強させてもらっているので、鉄道という融通の利かない巨大な装置産業としての考え方も学ぶ機会が幸いにもありました)

 昨日、評論家から聞かれたコメントと、以下を比較していただければ、誰が具体的な事をわかっていないか想像できると思うので、参考にしてください。(以下の説明は、JRを批判する側でも、擁護する側でもなく、一般的な見方に基づいた説明に過ぎませんので、JR側に過失が無いという意見でもありません)
 原因に関しても、ライブドアの闘いの時同様に、めだかをクジラにしたような展開の背景まで、まことしやかに論じられて、「もっと筋道立てて論じれば、わかる事なのに、実態を知らない議論だなぁ」とは思うものの、ここには書きませんから、また、顔を合わせる時にでも直接聞いてください。
 予断を排除し、1つずつの情報を客観的にまとめた上で、真実の究明と対応策を願って止みません。

(回復運転)
 何らかの原因で遅れを生じた電車などが遅れを回復するための運転を指している。
 今回の報道をそのまま聞いてしまうと誤解をしてしまいかねないけど、実際の回復運転というのは、通常よりもスピードを上げて遅れを取り戻すのではありません。
 駅と駅との区間の走行に必要な所要時間は、あらかじめ電車の性能ごとに計算されていて、それに若干の余裕を見込んでいる部分があるため、その余裕分を短縮に活かしているだけで、例えば100km/h制限の高速道路を150km/h出して遅れを短縮したりするのではありません。
 速度自体を、通常の時より上げる事が全く無いわけではないものの、元々、遅れが無ければ前の電車などが近くにいるために、接近するのを防ぐために速度を落として運転するようになっていたのを、本来出しえる速度にする事や、他にも速度の余裕を見込んでいる5km/h程度に過ぎないので、回復運転をおこなうために、一般の乗客が「速度を上げすぎ」と感じるような運転は本来の回復運転ではあり得ないし、通常の運転士の感覚では、制限速度を大幅に超過して回復しようという発想は、元々無い。

(最高速度)
 事故車両は、性能曲線上、最高で140km/h近くの速度を出す事も可能なので、JR西日本が発表したカーブの脱線すると考えられる速度133km/hを超える事もできると、これも一部の報道でコメンテーターが発言していたが、最近の車両は自動車のリミッターのようにある速度で歯止めがかかるような抑制装置が装備されている事が多く、今回のケースでは120km/h(実際に抑制がかかるのは、125km/hである可能性が高い)以上は、出せないようになっている可能性がある。

(カーブの制限速度)
 事故現場は70km/hの制限速度と報道されているのは、ご存知のとおり。ところが脱線すると考えられると発表されたのは、倍の速度に近い133km/hなので、不思議に感じられた方も多いと思う。
 この制限速度は、機械的な限度に一定の安全度を設定しているというより、実際には、それ以上の速度でカーブに入ると遠心力などで不快になるのを防ぐために、ある一定以上、外向きへの力がかからないように計算した、乗り心地基準の速度が制限速度とも言えます。(機械的な基準もあるけど、今回は省略します)

(半径300mのカーブ)
 F1などを楽しんでいるファンの方であれば、鈴鹿のバックストレートの後の有名なカーブが半径130mなので、緩やかなカーブのような印象があるかも知れないけど、鉄道としては、比較的きついカーブ。
 ただ、誤解されているのは、半径だけで制限速度が決まっていたり、脱線限度の速度が計算されるのではなく、実際には、線路に使用しているレールのタイプ、枕木のタイプだけでなく、内側へ傾いているように設置されている傾きの度合い(カント)を総合的に勘案されている。
 前出のように、カーブの速度制限は、乗客の不快感をあるレベルに押さえる前提で決定されるが、カントを設ける理由は、特に不快で危険な遠心力を下向きの力に変換して、不快感を低減する狙いがある。

(ブレーキ)
 車のような油圧ではありません。
 特に事故車両は、モーターを発電機のようにつなぎかえる事で、抵抗力を発生させるモーターによる電気系のブレーキを主に使い、車輪があまり回転しないので、そのモーターによるブレーキの効果が発揮しにくい低速域や、実際の制動力が要求している制動力より足らない場合に、車輪の踏面(車のタイヤで言うトレッド面)や、内側にあるディスクローターに押し付ける摩擦ブレーキが作動します。

(非常ブレーキ)
 最大制動度のブレーキで、まさに非常事態などに使用する目的のブレーキだけど、実はブレーキが作動するのは、運転士がブレーキを作動させるケースだけでなく、今回のように脱線により車両が分離する際に、電車全体を通して接続している空気ブレーキ用の圧縮空気配管が外れてしまっても、フェイルセイフの観点から作動する。(某評論家が最も誤解している項目)
 ちなみに、某評論家は、今日の時点で、さかんに「ブレーキを踏む」と連呼しているものの、鉄道のブレーキは、足で踏むのではなく手で操作します。(この方の著作は、オレも以前読んでがっかりした経験があります)

(ATS)
 自動列車停止装置の略。
 某コメンテーターに新幹線のATC(自動列車制御装置)と根本的に勘違いされていた装置。
 旧型旧型と報道されているために遺跡級の古いモノと感じられる報道だったけど、実際には全国のかなり多くの鉄道路線で採用されている最もスタンダードなタイプ。
 これは、赤信号を確認ミスして侵入し、前方の電車などに衝突したりする事を防止するために採用された装置で、このタイプはカーブ手前の減速などには対応していないのは報道のとおり。
 新しいか古いかというと旧型というのはウソではないものの、実態は「一般的なタイプ」と表現するほうが実態に合っている。新型で、近く、あの路線も更新される予定だったATS-Pというのは、首都圏、関西圏の一部主要幹線に採用されているかなり安全性が高いシステムで、カーブ手前で速度を連続的に規制できるというのは報道されているとおりで、実は制動性能が異なる各タイプごとにあった速度制御がそれぞれ可能になっている。

(オーバーランの疑問・・・PM12:12追加)
 8mオーバーランして、正しい停止位置にバックしたという報道は、個人的には不思議な報道だったのです。
 というのも、例えば新横浜駅の安全ドアがホームに設置してあるような形状の駅で、停止位置からずれると乗降に支障がある場合や、先頭車の前方に設置されている出発信号機が、スペースの関係で先頭車の目の前に設置してある場合ならともかく、8m程度停止位置からずれたからと言って、バックさせるのはあまり考えにくい事のはずなのです。
 昨夜から各局で流された、先頭車の客室から撮影されたビデオを見た限りでは、停止位置(ホーム左上に標識があります)から前方に対してのホームの余裕は8mよりかなりあるし、出発信号機も、ホームの先に設置されていたので、見えなくなるという状況ではなかったので、不思議に感じていたのです。

 というのも、車と違って、バックさせるには非常に面倒な手続きが必要で、そういう意味でも支障がない限りは、その位置からの発車になるケースが一般的(鉄道会社によって細かなルールがありますので絶対ではありません)のはずなのに、なぜ遅れを生じさせてまで8mの誤差を修整したのかと疑問に思っていたんだけど、40m規模のオーバーランだったと、先ほど(AM11:30)報道されていました。
 なぜ8mとウソの報告をしているかという背景は、少しでも小さいほうが良いという報道的な印象ではなく、他社のルールなどを参考にすると1両分(20m)以上の停止位置誤差は、事故扱いとして報告義務があるから、それより小さく報告したいという気持ちの表れではないかと思うので、あってはならない虚偽報告だけど、バックした理由と虚偽のための理由はスッキリ理解できました。

(2駅間で30秒短縮・・・PM12:12追加
 これは疑問だと書いておきます。
 1分30秒の遅れも、直前の駅の通過時は1分の短縮というのも、仮に事実であっても1秒単位の有効数字のあるデータではなく、運行上の遅れ報告単位(10秒もしくは15秒)での表現のはずなので、きっちり30秒短縮したという言い方をしている評論家は、実際の運行上のルールを知っていない証拠です。(運転取扱上の10秒もしくは15秒ステップで言う30秒の回復がダイヤの余裕分を含めて行われたと思われます・・・ただし現場で速度超過が無かったという意味ではありません)
 ちなみに、実際の伊丹〜尼崎の全路線を知らないので、これ以上のコメントは書かないけど、もしそもそもの運転能力に見合った速度で運転する前提でダイヤが組まれていたのであれば、あの短区間で30秒短縮すると、どんな速度で走っている事になるか、計算式でわかるはずです。(皆さんも時間があったら計算してみてください伊丹〜塚口間 約3.3kmを2分40秒基準だったのが、30秒短縮すると平均速度だけでどのような速度になるか・・・しかも、伊丹からは停車状態からの出発で、ある程度までの速度に達するまでは、別に急加速できるわけではありませんから、その差がさらに異様に感じるはずです)

 こういった事とは別に、事故発生時に乗務員とるべく手順について、ほとんどの報道では何ら触れられていないのは残念な事だと思う。
 今回の事故は、大惨事とも言えるので、事故そのものに気を取られているものの、実はもっと大きな事故になる可能性もはらんでいたのです。
 事故時に4両目が明らかに反対側の線路にはみ出しているけど、そこへ対向電車が突っ込んできたら、今回の比ではなくなるので、乗務員は急いで事故を拡大させないための措置を最優先で実施しないといけないのです。

 まず、防護無線の発報です。
 これはある周波数の電波を発信する事で、その周波数を受信した(=周辺にいた)電車が緊急停止するシステムの操作です。
 それと並行して、反対側の線路に信号が赤表示になるように、左右のレールを短絡させる器具を取り付けます。
 これで、万一防護無線を受信できていなくても、反対側(下り線)の、現場手前の信号は赤に変わるのです。
 特に、脱線に至る原因は、まだ断定できない(断定するべきでない)だけでなく、運転士に過失の有無は別として、運転士がほとんど対処できずに重傷を負った可能性が高いので、これを車掌がまず行わないといけないのです。
 車掌の役割としては、怪我人の救出ももちろん大切なのは言うまでも無い事だけど、まず一連の措置を実施して被害拡大を防止してから救出作業に復帰する必要があるので、今後、もし車掌が何をしていたかという事が解明されて、すぐに救出作業を始めなかったなどと批判が起これば、この点も参考にしてください。
 特に、前方が反対側にはみ出していて、運転士が事故措置できないと思われる状況の場合、左右のレールをつなぐ器具の設置は、先頭車の前に出て実施する必要があるはずなので、車内で苦しむ怪我人を前に、先頭に走っていって、また最後尾に戻ったりしていても、それ自体はお客さんを軽視している事ではありません。

 他にも、色々誤解を招く表現を多用しているなぁと感じる点は少なくないんだけど、原因究明を行う時に大切なのは、何か1つ情報が得られたから、それを最重要と考えるのではなく、それに関連する周辺の事も盛り込みながら、選択肢を広げていきながら、つながり的に自然な可能性を見つける事で、イデオロギー的なフィルターをかけて、そちらに誘導する事ではありません。
 また、JR西日本の安全推進担当者が記者会見時に発言した「脱線の原因は、今の段階では未確認です」というコメントに、記者席から「死者がでてるんやでぇ。そんなんでええのか」というような罵声が浴びせられたのは、見られた方もいると思うけど、ご遺族が事業者に言うのは構わないけど、真実を解明するべきマスコミの一員が発する言葉ではないと思ってます。
 この段階では、未確認なのは当然で、確認の努力をしていない事とは別だという事くらいの判断力は、マスコミも持っていて欲しいものです。(置石が脱線の原因ではないかとJRが言及したと報じているコメントも、あれは勝手に意訳して報道していて、会見では「レールに付着した破砕痕が見つかったので報告します。事故と関連性があるかどうかは不明です」と前置きしてます)
4月28日
 地震雲に関する情報を多く寄せていただきありがとうございます。
 やはり広島、九州だけでなく関西などでも観測されていたんですね。
 あれから4日目を迎えるけど、とりあえず地震が無いのは本当に幸いです・・・・というワケで忘れそうになっていたけど、地震もしくは地震雲の発生地域で、防犯装置の動作が異常だった経験をお持ちの方、是非情報をお寄せください。(一応、仕事上は、こちらが本編ですので)

 実は、過去にさかのぼれば、エンジンスターターなどでも色々な影響を受けて誤作動していたケースは少なくないのです。例えば、新幹線が通過する際に、架線とパンタグラフとの間で発生するスパークが原因で、知らないうちにエンジンがかかっていたなんて話も少なくなかったのです。
 最初、そういうお客さんの話を聞くと一瞬「それって、エンジンかけたのを忘れているだけ?」と思ったりしたけど、頻発するのに自宅以外では症状がでないという話を聞いて、原因究明に気合いが入った経験もあるのです。
 今は、新幹線の電気を集める方式が変わって、極めてスパークを起こしにくくなった事と、そういう世間の電磁波や火花などに付随する電波成分に影響されないようなエンジンスターターなどが開発されたので、ほとんど影を潜めたんだけど、地震や地殻の動きによって生じるエネルギーはまだ未解明な点が多いので、これはメーカーにも研究してもらうように要請してますので、情報をお願いします。

{報道の難しさ・・・でも}
 26日の日誌に掲載したキーワードは、読まれた方には反響も多かったようです。
 昨日お会いした方も、読んだだけでは、まだ誤解されていたようでも詳しく説明したら「なーるほど」と理解してもらったんだけど、事故調査の最も大切な点は、何か事象を見つけても、つい混同してしまう2つの事象の似て非なるものの意味の違いをちゃんと考えて細分化しなければ、それが知らず知らずのウチに予断を与える事になるという点を自戒しながら分析をする必要があるのです。
 そういう意味では、航空鉄道事故調査委員会の慎重なコメントや、鉄道のさまざまな事を熟知している本当の専門家が今の段階では原因について慎重な姿勢を保っているのは、実に評価できる姿勢なのです。

 それと比較して、当初から根拠の薄い説を各局で披露し続け、コメントの中に出てくる専門的知識も間違いが多く、自身でフリップに書き加えたものも、全く的外れな事を書いて(例として脱線防止ガードをレールと電車の断面図に書き加えた際に、書く位置を見ると、なぜ防止ガードを設置するのかという理由さえ理解していないから、間違ったところに平然と書けるんだろうなぁと、オレは見てました)いる専門家を称する人が脚光を浴びているのは、何とも情けない限りです。

 また、鉄道に限った話では無いものの、専門家の地名度や肩書きではなく、本当の意味でのレベルの高さは、その専門分野にある程度精通していないと判断しにくいという大問題があるので、事故のように急に発生するものに対して、本当の意味で専門家として評価できる人を限られた時間で呼ぶというのが難しいのはある程度理解できるものの、細かな情報がわからない段階で、何かを断言してくれるような人を使いたがる傾向のある報道と、ちゃんと手順を踏みながら確認できた事と、その可能性を着実に報道する機関があって、その対比、起用する専門家の違いが如実に現れているので、これは鉄道システムに精通している方であれば、是非そういう目でも比較して報道機関ごとの姿勢の違いを確認してみてくださいね。(さすがに、どこがどうだとは、とても書けん!!)

 キーワードの続編で言うと、オーバーランの過去報告件数を、今朝の番組で公表している番組があったのは、ご覧になった方もいると思うし、例えば三菱事件の時に、三菱のトラブルや火災ばかり報道していた際に、オレが日誌で、「他も燃えていると言う事を報道に盛り込んだ上で、三菱は他社に比べて異常値があれば、そこを問題にするべきだ」と書いたような視点で言えば、一見、非常に改善された報道のように思えるのではないでしょうか?
 しかし、今回は、JR各社のオーバーラン報告件数をグラフ表示していて、そういう意味では客観的な報道のように思えるかもしれませんが、飛びぬけて多いJR西日本のオーバーラン件数というのが実態として飛びぬけて多いかどうかは少し疑問な点があるのです。
 というのも、オーバーラン事故(衝突するような意味ではなく、運転士の取扱事故という意味です)として報告される過走距離の基準は各社マチマチのはずだからなのです。
 また、回答の中で、JR東日本は「未回答」だったのがミソで、オーバーランに関しては、会社として極めて厳しい姿勢を持っている西日本に対して、多少の停車位置のずれ程度は、改善できる努力は期待しているものの、一々事故として取り扱うより、落ち着いて「失敗できない」という瀬戸際に追い込まない姿勢を持っている東日本との姿勢の違いの現れに過ぎないはずなのです。
 だからと言って、東日本のほうがある一定基準以上停止位置がずれてしまったような実際のオーバーランが多いというわけでは無いと想像しています。
 ここらへんが、いわゆる人間心理をわかってルールを作っているか、表面的なルールによって管理するか、組織の本当の意味での実力差の1つだと思ってます。
 安全云々という議論だけでなく、整列乗車する上でも、停止位置にピッタリと止める事が望ましく、素晴らしい事は言うまでも無い事だけど、昨日の「JR西日本、また今日も2mオーバーラン」というような報道は、趣旨から考えると魔女狩り以外の何者でもないというのが個人的見解です。

(ヘリ飛行禁止法案)
 ずっと考えているけど、いつまでも手が打たれないので、ここで皆さんにも考えていただきたいと思っている1つを紹介します。
 今回のような大事故の場合、レスキューを始め、救助に携わる人達が動員され、危険と隣り合わせになりながら、寸暇を惜しんで生存者の救出にあたっている際に、ヘリの爆音というのは、生存者の確認や、器具用意の指示伝達などに非常に支障があるはずなのです。
 そういう事を考えると、生存者の確認作業が一通り終了し、救出手順が決まって、順調に作業が開始されるまで、上空に報道ヘリが飛来するのを禁止する法案(か、それに準じたもの)を用意する必要性があるように思うのですが・・・
 マスコミ各社も、人命尊重を謳うのであれば、協力できるはず・・・だと思う。
4月29日
{4月29日}
 とは思えない気温です。(ホンマに、ここは広島か?)
 当然のようにTシャツ姿で、出張作業でした。
 オレの車より、さらにレアでマニアな車のユーザーで、いつも口は悪いが、意外と気配りもあるお客さんの”パトロール一郎”さんと、突っ込みと”罵りあい?”を楽しみながら、「どうでも良いけど、この車、どういう車かホンマにわからんよーになるよ」と言いながら、さらに一歩進んだ”本家ワケのわからん車”を完成させました。

{転覆に至る原因について}
 という内容について、オーバースピードで外側の車輪にかかる横圧が高まり、内側の車輪が浮いて転覆した可能性があるように示唆されているのはご存知のとおりです。
 ところが、車輪に横圧がかかれば内側の車輪が浮くかというと、ちょっとそれは最初と最後だけしか触れていないような短絡的過ぎるコメントで、そこでも例の某専門家は、首を傾げたくなるようなコメントを繰り返していた。(この人、どういうわけか、昨日、今日はあまりTVに露出していないのは、マスコミの見識として喜ぶべき事なのだろうか・・・反面、評価している人は、頻繁に出るようになりました)

 オレも内側(右側)の車輪が浮いたのは、委員会が確認した証拠などで間違いないと思っているんだけど、その理由については、あくまでも個人的見解ではあるけど仮説を立てていて、ブレーキによる影響というより、台車構造の特異性が車体の傾斜を増幅させているように考えています。
 今回の事故車両に採用されている台車は、20年前くらいから少しずつ採用されてきて、現在は非常に一般化しているボルスタレス方式という台車なんだけど、これの利点として、車体の床高さを低くできる(低重心化)、乗り心地、高速性能の改善、制作費の低減などがあるんだけど、乗り心地を改善できる本来メリットとされる両端のエアサスのバネとしての柔らかさを実現できる構造と車体の支え方が、今回悪い方向に作用したように感じていたのです。
 数日前まで、瞬間で転覆に至ったと予測されていたけど、乗り合わせた人のコメントなどからも、きっと車体の傾斜は瞬間ではなく、少し長めのタームで傾斜が進行していったはずだと考えていて、転覆説を裏付ける証拠が出てきて、「だったら、こういうことかな」と思い至ったのです。

 そういう意味でも、オレの想像している理屈だと説明付くし、同様の事がトラックなどでも発生しているのです。(興味がある人は、顔合わす時にでも直接聞いてください)
 この考え方であれば、先日JR総研などが計算した転覆に至る速度は133km/hという計算よりも低い速度で転覆するのも説明できる(133km/hという数値は、背景条件の変化が生じない、1つの断面・・瞬間という意味とも言えます・・での限界速度であって、オレが想像しているのは、時間軸によりドミノ的に背景条件が変化するので、時間軸が進む事で、限界速度が低下するはずと見ています)ので、もしこの仮説が正しいと言う事になった場合、これまでの安全率の考え方は、ひっくりかえってしまう可能性を秘めています。
 ただ、この力学的考え方を逆手にとって、安全性を高める事も、少しの改良で可能なので、そういう方向に改善してもらいたいと願うばかりです。
 事故調査委員会の中間答申は、半年をメドに出されるようなので、その時の答申と比較して、仮説の考え方が正しかったかどうか、また検証してみます。

{奇しくも}
 先日、「奇しくも」正しい使い方で例文を作成してくださいという問題が出されていた番組があった。
 その際の、金田一先生(だったと思う)のコメントの1つに「奇しくも」というのは、良い事に使ってほしいというコメントがあったのです。
 という意味では、少なくとも、世間の一般的な心理としては正しい用法とは言えないんだけど、転覆に至る理由は、台車構造にあると想像していたのは、オレだけでなく、別の鉄道事業会社に在籍していて、日誌にも何度も登場している方(今日は具体的には紹介しません)が、同じ見解だったのが昨夜メールをいただいて判明したのです。
 オレが考えるに至った経緯はカンタンで、いわゆる昔からの鉄道車両の台車構造と、近年の台車構造の違いを、車の構造に置き換えたり比較した際に、同一性に気付いたんだけど、この方、車のサスペンションについての力学的問題は、専門的に勉強されてないはずだから、「ホントによく気づいたなぁ」と感心するばかりでした。
 ちなみに、この人ほど、運転部門で理論や構造などを研究している人を、オレは知りません。

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